第32章 増えていく二人だけの秘密〜冨岡義勇 時透無一郎【R18】
街に鬼が数体出ていて先程義勇は、頸を切ったところだった。
街の人を安全な場所に送り届けて一息ついている時に胡蝶の鴉が飛んできた。
何事かと話を聞いてすぐに義勇は、蝶屋敷へと向かった。
部屋に着くとゆきの側に不死川が付いていた。
「不死川?」
「すぐ飛んでくるんだな」
「……。」
不死川は、ゆきの髪を撫でながらゆきを見つめていた。
「可哀想に時透が前の継子といちゃついてる間ずっと寒い廊下で丸くなって寝てたんだぜ」
「は?どういう事だ」
「話した事そのままさ。お前らって好きな女大事にしないよな…」
不死川は、立ち上がり義勇の方に歩み寄った。
「おめーは婚約者がいただろ?時透はがきのくせしてやる事やるくせに自分と同じ年のがきの女にも興味がある」
義勇は、返す言葉がなく拳を握りしめた。
「俺なら一人の女愛し抜くけどな」
不死川は、ゆきのおでこに口づけして出て行った。
すぐにゆきに義勇は歩み寄った。触れた手が氷みたいに冷たかった。
ゆきが目を開いた。
「大丈夫か?」
「あ…れ…義勇さん?」
私たしか…そうだ凛と無一郎くんがまさかの同じお布団で寝始めて耐えられなくて廊下にでたんだ…。
で、寒すぎていつの間にか意識なくなってた…。
「寒かっただろ?」
ベッドの端に座りながら私をしっかりと胸の中に抱きしめてくれた。
暖かい…。
「暖かい…です」
「素足だろ?足の指先は冷えてないか?」
義勇は、布団の中に手を伸ばしゆきの足先を掴んだ。
「冷たいじゃないか?暖かくなるまで握っててやる」
義勇さんが私の足の指を握ってるから体がすごく密着してる…。暖かいけど駄目だよこんなの…
「ぎ、義勇さん大丈夫なんで離してください」
「ほらまたお前はずるい」
「え?何がですか?」
「またこんな時に名を呼び分ける。師範と呼ばない」
一瞬にしてゆきは赤面した。
「大丈夫だ。こんな事をしてるのも時透に言わない。二人だけの秘密だ。だから冷えた足を暖めさせろ。」
優しい…
義勇さんが痛いほど優しい…
二人だけの秘密が増えていく…