第30章 霞が消える時〜時透無一郎 冨岡義勇【R18】
蝶屋敷に着くとしのぶの姿が見えた。慌ててゆきはしのぶの元へ行った。
「しのぶさん…無一郎くんはどこに居ますか?」
息を切らせて走ってきた様子のゆきを見てしのぶは、部屋を教えてあげた。
扉をあけて無一郎くんが眠るベッドに歩み寄った。
顔は、傷の手当てをされていた。熱があるのか苦しそうにしていた。
「む、無一郎くん…」
震える手で、顔にかかる髪をよけてあげた。
こんな大怪我するくらい大変な闘いだったんだと考えると、昨夜自分が義勇としていた行為が汚らわしいものに思えて辛かった。
涙もいっぱい出てきた…。自分が許せなかった。
ごめんなさい無一郎くん…。
〜〜〜〜
熱が高くて意識が朦朧とする…。早くゆきに会いたいなぁ…
体に髪に顔に唇に触れたいな…。
無一郎はぼーっとしながら少し目を開いた。お腹辺りに誰かの頭があり自分の布団にうつ伏せで眠っていた。
蝶屋敷の誰かが自分の看病でもしていて眠ってしまったのかと思った。
そして無一郎は、また意識が落ちていった…。