第26章 刀鍛冶の里〜「無一郎くん」時透無一郎【微R】
無一郎は、驚いて言葉が出てこなかった。
「私を鬼から救ってくれた、天涯孤独になった私を継子にして側に置いてくれた…」
ゆきは、目から涙をポロポロ落としている。
「いっぱい思い出が色々脳裏に蘇ってきました」
無一郎は、ゆきを力いっぱい抱きしめた。ひと目も気にしなかった。
「無一郎くん…苦しいよ…」
「もう少し我慢して」
里の空には、満天の星が輝いていた。冬の気配がする秋の終わりだった。
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「義勇さん!義勇さん!義勇さーん!」
炭治郎が里の店で一人お酒を飲んでいる義勇を見つけた。
「なんだ炭治郎か?」
「あれ?ゆきは一緒じゃないんですか?」
「あいにく一人だ」
「義勇さんもお酒飲むんですね?」
「今日は任務ではない休暇になるから飲んでいる」
「義勇さんの継子のゆきって良い子ですよね。俺より少しお姉さんだけど可愛いところもあったりで義勇さんが可愛がるのわかります!」
義勇は、お酒をぐっと飲み干した。
「俺は声も可愛くて好きだ」
義勇さん…ゆきの事好きなんだ。義勇さんからそんな匂いがいっぱい漂っている。
だけどこの人婚約者が居なかったっけ?
報われない恋をしているのか…?まだまだ子供の俺には難しいなぁ。
暫くして................
「義勇さんちょっと酔ってますよね?」
炭治郎の前を歩く義勇は、あきらかにふらついている。
「大丈夫ですか?」
「心配ない普通だ」
「早く宿に戻りましょう…おっ!あれは?」
炭治郎が目線を向けている先を義勇もみた。
「時透くんと…ゆきですよね?」
義勇は、心臓が止まりそうになった。二人はしっかりと手を繋いで歩いていた。
それに炭治郎も気づいた。
「と、時透くん弟みたいで可愛いからきっとゆきは手を繋いでるんですよきっと」
炭治郎が自分に気を使い言ってくれてるとすぐに、理解した。
「もしかして、ゆきは記憶が戻ったのかも知れない…」
「記憶喪失だって俺も聞きました。」
刀鍛冶の里の夜空に広がる星は残酷なくらい綺麗で、手を繋ぎ歩く二人を照らしていた。