第26章 刀鍛冶の里〜「無一郎くん」時透無一郎【微R】
無一郎とゆきは、宿の部屋へ戻った。無一郎がすごい力でゆきを引っ張り部屋へたどり着いた。
部屋に入ると同時くらいに無一郎は、ゆきに激しく口づけをした。
「んっ…はっ///」
何度も角度を変え舌も絡めて今まで出来なかった分を取り返すかのような激しいものだった。
ゆきは、苦しくて息が出来なかった。
「まっ…て…んっ」
無一郎は止まらなかった。そのまま押し倒してゆきの上にまたがった。
「無一郎くん待って」
「何を待つの?今すぐしたいんだけど」
無一郎は、自身の隊服のボタンを外しだした。顔は童顔なのに、隊服の下はしっかりとした筋肉質な体が現れた。
「無一郎くんほんとに待って!やだっ」
「僕がどれだけ君の心が戻ってくるのを待ってたかわかる?」
無一郎は、ゆきの隊服のボタンに手を伸ばしゆっくり開いていく。
「ほんとに待って」
「なんで?」
「昔の記憶は、戻ったけど…私には新しい記憶も出来ました…。」
「なにそれ?」
「記憶が戻ったからって急に無一郎くんとこんな事出来ないです…」
「それってさ、冨岡さんとの事だよね?」
ゆきの目が大きく開いた。僕との記憶が戻ったけれど記憶のない間の冨岡さんとの日々も大切なんだろう。もともとは、僕じゃなく冨岡さんに恋してたもんね…。僕との関係は古いものになり今現在の冨岡さんとの関係を君は取ろうとしているの…?
「む、無一郎くん…?」
「あ、れ?なんだこれ?」
無一郎は、大粒の涙を流していた。
脱いだ隊服を来て部屋から飛び出していった。
「待って!行かないで!無一郎くん!」
ゆきは、後を追ったがどこに居るのかわからない。
無一郎くん、わかってよ…いきなり記憶が戻ってすぐに切り替えるなんて出来ないよ。泣いてる姿初めて見た…いつも冷静な何事にも動じない人なのに…
どこに行っちゃったのよ…
夜の里は当たり前だがひとけはなかった。今日行った丘に登ってみた。人影が見えた。
「無一郎くん?」
走って歩み寄った。月の明かりで顔が見えなかった。
見える位置まで歩み寄った。
青い目、一つに結った髪が夜風になびいていた。
「義勇さん…」