第26章 刀鍛冶の里〜「無一郎くん」時透無一郎【微R】
小高い丘に登ると里が一望できた。
「わぁすごい綺麗!!」
景色を見てはしゃぐゆきが、可愛かった。早く僕を思い出してほしいそして名前を呼んでほしい。
無邪気に花を摘んで遊んでいるそんな姿を見ながら無一郎は、草原に寝転んだ。
「えっ何?」
ゆきが上から摘んだ花をハラハラと綺麗に降らせてきた。
散る花の先に見えるゆきが愛おしくて堪らなくなった。
無一郎は、ゆきの手を引き自分の胸の上に乗せて抱きしめた。
「まだ思い出さないの?」
「はい…」
「僕のこと好き?」
「…それは…」
「ずっと冨岡さんの事今日一日考えてたでしょ?」
「………。」
無一郎は、体勢を逆転してゆきを組み敷いて両手を拘束した。
「ここで抱くって言ったらどうする?」
「えっ?いや、いやです。」
「何で?恋人同士だったんだよ?」
「でも、覚えてないので…」
無一郎は、片手でゆきの隊服のボタンを外していった。
「えっ!えっ?待ってください」
「待たない。」
「だめです!」
その時ゆきの隊服の胸元から昨日義勇に買って貰った手鏡が落ちてきた。無一郎は、それを取り上げた。
「大事に持って来たの?」
「……。」
じっと僕の事を怯えた表情で見てくる。意地悪言ってるのは分かってる。記憶がないんだから怖いよね僕が、、、
冨岡さんが恋しくなるよね。婚約解消するまで言われてそれに『愛してる』って言われて。
「日も暮れてきた戻ろう」
帰り道すっかり辺りは暗くなっていた。昨日義勇に手鏡を買ってもらったお店も明かりが灯っていた。
そのお店を見てまた脳裏に浮かんできた。
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着物を着て頭にリボンを付けてる私…。それで、それで、鬼が、、、鬼が、母と父を殺した……////////
道端で急にしゃがみ込むゆきに無一郎が気づいた。
「どうしたの?急に?」
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私も殺される『死んじゃう!』目を閉じてしゃがんだ。でもその瞬間私の前に、髪の長い毛先が綺麗な淡い青色の剣士様が立って鬼を切った/////
その剣士様は目の前に居るあなた…。私を継子にしてくれた人…
「ゆき?」
「……無一郎くん……」