第25章 刀鍛冶の里〜無一郎の到着 時透無一郎 冨岡義勇【R18】
お風呂での記憶…?確か俺はゆきを風呂で抱いたことがある…それに嫌がっていたのも覚えている。
それをゆきは思い出しそうなのか?
もしくは、もう思い出しているのか?
「ゆき…俺が怖いか?」
ゆきは、首を横に振った。義勇がゆきを抱きしめてきた。
「義勇さん…?」
「名で呼んでくれるんだな」
ゆきは、義勇の胸元を両手で押して腕の中から逃れた。
「部屋に戻ります」
義勇は離れていくゆきをもう一度腕の中に囲った。
「百合との婚約は解消する」
「えっ?」
ゆきは驚いて義勇を見上げた。
「里から帰ったらお館様に言う」
義勇がゆきの両頬に手を添えた。
「愛している」
義勇の顔がゆっくりとゆきに近づいていく。
愛してるって…私を…?婚約を解消するって…
唇が触れ合おうとしたその時
「ずるいですよ、冨岡さん」
物置部屋の入り口から声がしてきた。
二人が目を向けると、無一郎が壁にもたれかかり立っていた。
「そうだ。お風呂で無理矢理されたって何の話ですか?」
腕を組みながらじっと義勇の目を見て聞いてきた。
「ゆきの思い出したくない過去だ掘り下げるな」
「それは冨岡さんが思い出してほしくないからじゃないんですか?」
ゆきの胸がざわついた。あの嫌な思い出もしかして義勇さんと関係があるの?
無一郎は、ゆきの顔を見た。
「ゆきが思い出してくれないから話すよ。君と僕は好き合っていた。」
ゆきの鼓動が速くなる…無一郎から視線を外せない…。
「えっ?時透さんと私が…?」
「そうだよ。だから早く僕を思い出してよ」
ゆきは、義勇の顔を見た。
「じゃあ今の私のこの気持ちは何なんですか?義勇さん…私は何故義勇さんの事が…」
無一郎は、割って入った。
「昔の記憶だよ。君は僕の事を好きになる前に冨岡さんに想いを寄せていたんだ」
ゆきは、泣きそうな目で義勇を見つめていた。
「義勇さんは、私が時透さんとそういう仲だってしってたんですか?」
義勇は、目を合わせてくれなかった。
無一郎が、ゆきの腕を掴んだ。
「僕のとこに戻ってきてよ。」