第22章 大人の基準〜不死川実弥 時透無一郎【R18】
不死川邸での生活にゆきは慣れてきた。不死川は口は悪いが優しかった。
兄のような大人の包容力があった。
「不死川さんは毎日街の警備お昼間もされてますよね。街の用心棒みたいでかっこいいです」
「褒めても何も出ねーぞ。ほら、沢山食えお前は細いからもうちょっと太れ」
何事もなく上手く生活していた。
義勇の元へもお稽古にきちんと行っていた。
そんなある日屋敷に戻ると、無一郎が来ていた。
「待ってたよゆき明日から僕の所だよ」
義勇さんに抱かれた時にずっと時透さんの顔が頭に浮かんだ事を思い出した。
ゆきが、固まってしまっている事に不死川は気付いた。
「ゆき冨岡のくだらねー稽古疲れただろ?風呂入ってこい」
うまい具合にその場を逃がしてあげた。
ーーーーー
「不死川さん本当にいい人…私の心が読めるのかってくらいすごい。お兄ちゃんみたいで好きだなー」
お風呂から上がり月を見ながらそんな事を口にしていた。
「兄ちゃんみたいか?」
隣に不死川が座ってきた。
「最後の夜だちょっと飲もうぜ」
お酒を手渡された。断る理由もなくゆきも飲みはじめた。
いつしか眠ってしまっていた。
不死川の、肩にもたれて安心しきった顔で寝ていた。
顔にかかる髪を避けてあげた時にゆきが、少し目を開いた。
「布団に連れてってやろうか?」
「なんか天井がぐるぐる回ります。お願いします」
ゆきの部屋は明かりをまだつけていなかったので真っ暗だった。
不死川はゆきの荷物にひっかかりバランスを崩してしまった。
ドサっ
ゆきの顔が目の前にあった。覆いかぶさるように倒れてしまっていた。
「不死川さん?大丈夫ですか?」
こんなに顔が至近距離なのに恥ずかしがる様子もなく俺の心配をしている。
何故か分からないが腹が立った。
「覚えてるか?お前が熱出した日」
「記憶がないんです」
「解熱剤をなかなか飲んでくれなくて俺が飲ましたんだぜ」
不死川の顔がもっとゆきに近づいてきた。
「こうやって」
急に口づけされた。角度を変え舌を絡まして息ができないくらい激しく…
ゆきは、不死川の服を掴んで体を離そうとしたが、びくともしない。
「んっん…んん…」
足もバタバタしている。