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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第105章 無一郎と美月の仲〜時透無一郎


一方その頃、無一郎はゆきの姿を求めて街を歩き回っていたが、一向に見つからず重い足取りで屋敷へと帰ってきた。

門の前には、心配そうな表情を浮かべた美月が待ち構えている。

疲れ果てていた無一郎は、引き寄せられるように美月へ甘え、その肩に額を預けた。

「…ゆきが、どこにもいなかった」

ぽつりと漏らした声の幼さに、美月は愛おしさを募らせる。

優しい手つきでその頭を撫でながら、甘く囁いた。

「こんなに無一郎様を悩ませて悲しませるなんて…私、ゆきが許せません」

「…ねぇ、簪の件だけど」

無一郎は遠い目をしながら、美月の身体を静かに押し返した。そのまま彼女の瞳をじっと見つめ直す。

「本当に、ゆきが君の簪を隠したの?」

「はい。彼女の部屋で見つかりましたから」

美月は少しも動じず、健気に微笑んで見せた。

「僕に嘘をついていない?」

「勿論です。…無一郎様は、どちらを信じてくださいますか? 優柔不断で浮ついた気持ちのゆきと、ずっと無一郎様だけを一途にお慕いしている私…どちらを」

詰問するような視線を受け止めた無一郎は、ぐっと拳を握りしめた。

胸の奥で何かが引っかかっている。

ゆきは、自分に違うと言った…。頭に血が昇っていた僕は、思考が麻痺していたのかもしれない…

ゆきの話にきちんと耳を傾けたか?

だが、今はそれを確かめる気力さえ湧かなかった。

「…ごめん。今日は稽古、無しで」

「え…?」

「自主稽古、しておいて…」

美月の問いには最後まで答えないまま、無一郎はそっと距離を置く。

振り返ることもせず、一人静かに自分の部屋へと戻っていった。

残された美月は、無一郎が徐々に自分に向いていた気持ちが少しずつまたゆきに、戻りつつある事を感じ取っていた。


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