第19章 揺れる無一郎の心~時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥
今朝僕は意地悪をした。昨夜も冨岡さんにもしかしたら体を許していたのかと思うと普通には出来なかった。
ゆきのことを考えると最近心が穏やかにならない。嫉妬や支配したい欲望がどんどん増えていく…いつ自分から離れていってしまうのかの不安に耐えれなくなる。
記憶が曖昧で物事を覚えておけない僕はゆきが安らぎだった。
だけど最近、近くでどんな時でも僕だけに真っ直ぐな気持ちをぶつけてくれる子が居たことに気付いた。
凛だ、、、うっとおしかったのが最近そうでは無くなってきている。
ゆきが、屋敷に戻ったのはすっかり日が暮れていた。
居間では凛が楽しそうに無一郎と話しながらご飯を食べているのが見えた。
とても入れそうな雰囲気ではないので、そのままお風呂に向かった。
頭からお湯をかぶり涙も一緒に流した。
「無一郎くんに愛想尽かされたのかな、、、」
お風呂上がり縁側に座り月を見た。夜風が寒かったがこの場所は部屋から離れているので普段誰も来ないし声も聞こえない場所だった。
ゆきは、膝を抱えたまま眠ってしまった。
「ゆき御姉様帰って来ませんね?もしかして水柱様の屋敷にお泊まりですかね?」
無一郎は、凛に足を揉んでもらっていた。
「…本当に帰ってこないなんて」
無一郎は、イライラしてきた。帰って来ないゆきに腹が立った。
そんな時凛が抱き締めてきた。「お、おいやめろ」
「嫌です」「離れろ」「私なら真っ直ぐに師範だけが好きです」
無一郎の心が揺らぐ
「師範」
凛のくちびるが、ゆっくりと無一郎に重なった。一瞬無一郎は目を閉じた。
だが、浮かぶのはゆきの笑顔だった。
無一郎は、凛を離して部屋から出ていった。
頭を冷やそうと縁側に向かった。
僕は、どうしたんだ?誰が好きなんだ…。凛?ゆきは?いや、あいつは今冨岡さんといる。また抱かれてるんだ…そうに決まってる…。
そうに……
縁側で丸くなり膝を抱えて眠っているゆきがいた。
また髪が濡れたままで浴衣に雫が落ち体が透けていた。
泣き腫らした目をしていた。もう冬になる頃だこんな寒い場所に薄い浴衣姿でゆきは眠っていた。
僕の近くにちゃんと帰って来ていた。