第5章 呼吸
疲労による発熱で倒れてしまった私は
その後3日間ー…
ずっと寝たきりのままだったけど
1週間後には万全の状態まで回復した。
寝込んでいる間は、仕事のお手伝いが全く出来なくて、蝶屋敷にいるみんなに謝ったけど
私を責める子は誰もいなくて…
むしろ、何もするなって言われたから
私はお言葉に甘えて、ずっと自室に篭る羽目になった。
特にしのぶちゃんは
私が何も言わずに1人で無茶な事をしたから
もう……なんていうか、滅茶苦茶怖くて……
体が回復してから、畳の上に正座をさせられ
1時間近くのお説教を延々とされた。
怒鳴られることはなかったし
にこやかに笑いながらだったけど
その笑顔が逆に怖くて、額には怒りマークが出ているように見えたし、血管が浮き出ていたから
すっごく怒っているのが嫌と言うほど分かった。
しのぶちゃんを2度と怒らせてはいけない…
思い出すだけで恐怖を感じ、体がガタガタと震えそうになるほどだ。
あの時のしのぶちゃんを思い出しながら
私は今、アオイちゃんと一緒に炊事の仕事を行っていた。
『アオイちゃーん、ご飯焚けたから
おひつに移しとくね〜』
「ありがとうございます。
さんが手伝ってくれるお陰で
食事の用意がスムーズにいくので助かります。」
『いやいや、アオイちゃんが丁寧に色々教えてくれたからだよ〜。これからもちゃんと手伝うから何でも言ってね!』
「じゃあこれからも宜しくお願いします。
…でも、またこの前の時のように
無理して倒れたら……怒りますからね…?」
『っ…、わ、分かってる…』
アオイちゃんも普段はすごく優しいけど
しのぶちゃんと一緒で、私が元気になってからお説教を喰らったんだ…。
普段温厚で優しい人ほど
怒らせてはいけないと……
今回の件で、私は実感させられた。
『…あ、そうだアオイちゃん、
冨岡さんの屋敷ってどこにあるか知ってる?』
「いえ、私は知らないんですけど…
しのぶ様ならご存じだと思いますよ。
でも、どうしてですか?」