第4章 決断
「さん、もう分かりましたから…
今はゆっくり体を休めて下さい。」
『…うん……。しのぶ、ちゃ……
あ…りが、と……、ごめ、ん……ね……』
…はすぐに目を閉じると
再び眠りについたようだった。
胡蝶はが眠ったのを確認すると
スッと立ち上がり、部屋の外へ出て行き、俺も跡を追いかけた。
俺に背を向けたまま、通路に立っている胡蝶は
先程のような怒りの雰囲気はなくなっていた。
「胡蝶…。お前にも迷惑をかけて…
本当にすまなかった。」
「…さんに貴方を責めるなと言われた以上
私はもう何も言いません。
でも、次にまた同じような事をしたら
容赦はしませんので……肝に銘じておいて下さい。」
「承知した…。」
…女というのは怖い生き物だ。
俺の返事を聞いた胡蝶は、
いつものように穏やかな顔をしていたが
かなり引き攣った笑いをしていて
俺に対する嫌悪感を隠し切れていない…。
俺がまたを苦しませたら
胡蝶の毒で殺されるかもしれない…
そんな想像をすると、背中に冷や汗が流れた気がした。
「私も…、さんは
鬼殺隊に入隊するべき人だと思っています…。
あの人はまだまだ強くなる…
この短期間での成長は、目を見張るものです。」
「…そうか。」
「さんの体調が良くなり次第
入隊するか否か、話をしてみます。」
「宜しく頼む…、長々と邪魔をして悪かった。」
蝶屋敷を出て、自分の屋敷に戻る道中…
俺はずっと、同じ事を繰り返し望んでいた。
…今度と会う時は
今日のような苦しげな状態ではなく
元気な姿が見られることを……。
雲一つない快晴の空を見上げながら
早くの状態が良くなるようにと…
屋敷に着くまで、俺は何度も祈り続けた。