第3章 積極
…あらあら、またさんのことを気に入ってしまったようですね?
見た目は変わった眼鏡をかけて
少し地味な印象を受けるさんですけど
それでも彼女の笑顔を見たほとんどの隊士は
さんに見惚れてしまう…。
でもさんが
多くの隊士を支えてくれるお陰で
鬼を倒すことに前向きな姿勢を保ち、隊士の質や向上心をあげてくれているのは事実…。
…冨岡さん、
貴方はとても素敵な人を救ってくれましたね。
さんの命を守ってくれて…
心より、感謝申し上げます。
『じゃあまずは、この薬を全部飲んで下さい!』
「はいっ…、!?!?」
『?どうしました?』
「い、いや…。なんかこの薬…
見た事もないような色で…変わった匂いがしてるんですけど…」
『心配しなくても大丈夫ですよ?
胡蝶さんが調合した薬なので
効力はちゃんとありますから!』
「…っ、そういうことではなくて……」
『早く傷を癒して、ご友人の分まで鬼と戦えるよう、私達が全力でサポートしますから、治療、頑張りましょうね?』
「うっ…、は、はい!!
ゴクッ………〜〜〜〜〜ッ!?!?」
さんに励まされた隊士は
容器に入った薬を全て飲み干しましたが…
衝撃的な味だったようで、悶絶したまま
意識を失い、眠ってしまったようでした。
『よく頑張りましたね…。ゆっくり休んで下さい。』
隊士にソッと布団を掛け直したさんは
柔らかく微笑んだ後、体の向きを変え
通路に立ったままでいる私たちを視界に捉えた。
『胡蝶さん…!帰ってたんだね!』
「えぇ、つい先程。
さん、隊士の説得、お疲れ様でした。」
『え、うそ、見てたの!?
うわぁ…情けないところ見られちゃったなぁ…』
「そんな事ないですよ。十分御立派でした。」
『結果だけ言えば良かったけどさ…
あの人すごく怒らせちゃったし、
挙げ句の果てには泣かせたし…
今度また同じような人がいたら
もっと上手く説得できるように頑張るね!」
…本当に、この人は。
今でも十分頑張っているのに
どこまでも前向きな人ですね。