第3章 積極
胡蝶さんに言われた通り、
しばらく安静にし続けていると
私の怪我はあっという間に治っていき
寝たきりの生活はすでに終わっている。
立ち上がれない間は退屈だった、なんてことは全くなくて、蝶屋敷と呼ばれている胡蝶さんの屋敷には
胡蝶さんの弟子であるカナヲちゃん、
怪我をした隊士達のお世話をするアオイちゃん、キヨちゃん、スミちゃん、ナホちゃん、という女の子達が住んでいて
お仕事の合間に、私のところへやってきて話し相手になってくれた。
それは胡蝶さんの計らいで
私が退屈しないように、みんなにお願いしてくれたんだと、アオイちゃんが教えてくれた。
みんなと話した事は、主に鬼殺隊についてのこと。
鬼殺隊は鬼を狩る為の組織で
政府非公認であることや、独特な階級システムがあり
鬼を倒し、功績を積むことで昇格する事、
新人隊士は癸(みずのと)という階級から始まり
最高位は、柱(はしら)と呼ばれているらしい。
私を助けてくれた冨岡さんや胡蝶さんも
柱という階級のようで、驚いたけどすぐに納得がいった。
他にも何人かの柱について教えてもらい
共通して言えるのは、みんなそれぞれ異なる力を使うけど、かなり強いのだと、そう教えてもらった。
柱以外の隊士の人達も、みんな命をかけて
鬼を倒すことに邁進しているようで…
私が令和の時代を過ごしていた時
ずっと苦しい思いをしてたことなんて、些細な事のように思えた。
鬼殺隊に隊士として、入隊する理由のほとんどが
…鬼に家族を殺されたから。
私と同じように、家族を失い
人生に絶望して、生きる希望を無くして…
それでも前を向いている隊士達を
私は心から尊敬する。
そんな人達のために、私がこの時代で
何か出来ることはないかなって…
それはまだ明確に決めた訳じゃないけど
蝶屋敷のみんなには凄くお世話になったから
この屋敷のお手伝いをすることにした。
掃除や洗濯を覚えるのは簡単だったけど
難しかったのは炊事…、所謂食事の用意だ。
この時代には、まだ炊飯器が存在していなくて
火を起こし、飯盒でお米を炊かなくちゃいけない。