第19章 看護 ✴︎
『良かった…!濡れてなさそう…!』
「何か大事な物でもいれていたのか?」
『はいっ!実は、伊黒さんが蜜璃ちゃんに贈り物を買ったお店で、私も買った物があるんです!』
元結を持って、冨岡さんの正面に戻った私は
何を買ったのか不思議に思っている様子の冨岡さんに買って来た元結を差し出した。
『これ…良かったら使って下さい。』
「…?俺に…か?」
『はい!冨岡さん、いつも髪を結んでるし
この紐、綺麗な色だから目に止まっちゃって…
受け取ってくれますか…?』
手の中の元結を凝視している冨岡さんを見ていると、濃青色の元結は冨岡さんの手中に移動していた。
「この青色…、まさか…」
『やっぱり気付きますよね…。』
どうしよう…、目と同じ色の髪紐なんて重かったかな…。
男性に贈り物をすること自体初めての体験で
喜んでもらえるかどうか、全く自信がない私は
ジッとその元結を見つめている冨岡さんの反応を伺っていると、
冨岡さんは包装紙を開けて、
数本ある中身を一本だけ取り出した。
『…?あの…』
「ありがとう…、大切に使う。」
『えっ…、ぁ…』
冨岡さんはお礼を告げると
今、髪を結っていた紐を外し、私がプレゼントした紐で髪を結び直していた。
早速使ってくれる事に嬉しく思っていると
髪を結び終えた冨岡さんは、正面にいる私を強く抱き締めて来た。
「好きな女から贈り物を貰うのは初めてだが…
こんなにもいいものとは知らなかった。」
『えっと、それは…喜んでくれてます…?』
「無論だ。
お前が俺の為に、と考えてくれたのが…嬉しい…。」
『えへへ、良かったです。』
無事に仲直り出来て、プレゼントも喜んで貰えて、満足感でいっぱいになった私は
冨岡さんの背中に手を回して抱き締め返した。
「…、
今後も俺が間違ったことをした際は
遠慮なく教えてくれないか?」
『ふふっ、いいんですか?
またこの前みたいに顔叩いちゃうかもしれせんよ?』
「構わない…、
痛い思いをした方が気をつけようと思える。」
…うん、やっぱり真面目だね、冨岡さん。