第16章 男女 ✴︎
「…、頼むから泣くな…」
『ううっ…ひっく…』
「お前に泣かれると…、焦る…。
俺は…にはずっと笑顔でいて欲しい…」
『じゃあっ、もう恋人の私にっ…
遠慮、とか…しないでくれます、か…?』
「お前の望みなら…全て受け入れる。」
『うっ、うわぁ〜んっ…!』
「おい…っ、もう泣くな…。」
冨岡さんは私の泣き声を聞くと身を離して
困り果てた様子で
私の涙を自分の羽織りの袖でゴシゴシと拭い始めた。
次第に私の涙は治まり、冨岡さんもホッとしているようだった…。
「はぁ…、お前を泣かせた事が胡蝶に知られたら
毒でも盛られそうだな…」
『ふふっ、その時は私が四六時中看病します!』
「馬鹿…、そうなる前に胡蝶を止めろ。」
『あははっ、冗談ですよー』
すっかり涙が引っ込んだ私は
しのぶちゃんを恐れている冨岡さんが面白くて笑っていたけど、そんな私を冨岡さんはジッと見つめていた。
「の笑顔は…、太陽みたいだな。」
『??太陽、ですか…?』
「明るくて、輝いていて眩しいから…
お前の笑顔、俺はとても好きだ。」
『嬉しい、です…。私、この時代に来てから
笑う事が増えたって実感してて…
冨岡さんといる時が一番楽しいです。』
「そうか…。
だが俺のせいで、目が少し赤く……、。」
『…?冨岡さん…?』
泣いた事で赤くなってしまった私の瞼を
冨岡さんは指でスッと優しく撫でていると
何かを思い出したようで、ピタッと動きが止まっていた。
「泣き顔……不死川に見せたのか…?」
『いえ…、あの人の前では泣いてないはず……、あ。』
そういえばさっき蝶屋敷で
私が冨岡さんに泣かされた、みたいなこと言ってたから…
きっと冨岡さんも
その事を思い出したんだと察した私は、以前、冨岡さんと恋人になる前に大泣きした時のことを説明した。