第15章 潔白
…正直言って
この父親に何を言われても
私はもう傷付かないし気にならない。
ただ今は…
隣にいる冨岡さんから醸し出されている空気の方が気になって仕方ない…。
ずーっと無表情だけど、怒ってるのが分かる…。
私が不死川さんの屋敷に泊まった時とは
比べ物にならないくらいの怒りオーラが出ていた。
「親父、もういいって。
強く言い過ぎて泣き出したら面倒だろ?」
「それもそうだな…。
女はすぐ涙を武器にしようとする厄介な生き物だ…。きっとその女も、そうやって男を誑かしているんだろう。」
し「さんは
そのような事を一度もしていません。」
「はっ、どうだかなぁ?
西口さんの御子息が惚れ込んだのなら
相当卑怯な手を使ったに違いない…。
息子が噂話を流したくなる気持ちも納得できるな。」
「だろ?この人、見た目がすげぇ地味だし
きっと西口も誘惑とかされたんだよ。」
『だから…、そんな事してないですって…。』
…何で見た目が地味イコール誘惑したっていうことになるの?
この親子の思考回路はどうなってるのかな…。
もし私の時代にこんな人達がいたら
セクハラ案件で社会的に瞬殺されてもおかしくないよ…。
私の悪口をひたすら言い続けている親子に呆れて、ため息が出そうになっていると、再び父親の方が口を開いた。
「確かに見た目はかなり地味だが…、
それなりにいい体をしているように見えるけどなぁ?」
冨「…!!」
『っ…』
…何この親父、キモッ!!!!
私の体を舐め回すような視線で見つめてきたことで、鳥肌が立つのと同時に冨岡さんが動き出す気配を感じた。
やばい…、と思って声を掛けようとしたけど
それはもう間に合わなくて…
冨「それ以上…
如何わしい目でを見るな。」
「あ?…っ、ひッ…!」
…冨岡さんは鞘から刀を一瞬で抜き
父親の首元に刃先を当てていた。