第14章 濡衣
side 冨岡
ーーー…任務帰りの朝。
俺は1人で屋敷までの道のりを歩きながら
蝶屋敷に向かおうかどうかを悩んでいた。
その理由は言うまでもなく…に会う為。
恋人になった日から
アイツへの気持ちが一向に大きくなるばかりで…
「……。」
の事を頭に思い浮かべると
一目だけでも良いから、顔が見たいという気持ちを抑えられなくなった俺は、行き先を蝶屋敷へ変更した。
先程まで悩んでいたというのに
の顔を一瞬思い浮かべただけで
即決断してしまった己を憐れだと思いつつも
アイツに会えるかもしれない、という期待の方が上回り、俺は早足で蝶屋敷へと向かった。
「……あれは…」
屋敷の近くまでやって来ると
見覚えのある若い隊士達3人が視界に入り
騒ぎながら何かを話しているようだった。
伊「あーっ!!くそが!!
思い出しただけでも腹が立つぜ!!」
炭「まぁまぁ…、でも伊之助、
いくらムカついたからって
同じ鬼殺隊の人を殴るのはだめだろ?」
善「でも炭治郎だってかなり怒ってたじゃん。」
炭「そりゃあそうだよ!!
あの人達…、
さんの悪口言ってたんだから!!」
…悪口?
のことを悪く言う隊士がいたのか…?
伊「アイツら…
眼鏡女の事を何も知らねぇくせにペラペラと…
…やっぱりもう一度ぶん殴りに戻る!!」
炭「!!だから殴るのはダメだってー!!」
善「指令来たんだから任務に向かうところだろっ!!戻ってる時間は無いって!!」
伊「うるっせぇ!!離しやがれゴラァ!!
殴らねェと気が済まねぇんだよ!!」
「……。」
暴れている猪を
他の2人が必死で止めている様子を見ながら
俺は彼等に近付いて声をかけた。
「…おい、お前達。」
伊「あ…?っ、あーーー!お前は半々羽織!!」
炭「冨岡さんっ!お久しぶりです!」
善「……。」
…俺を見た彼等は
それぞれが全く異なる反応をしていた。
大声を出しながら俺を指差す猪の少年、
笑顔で挨拶をする少年、
そして何故か俺を睨みつけて来る黄色頭の少年…