第13章 浮名

「は…俺の恋人になった。」

『っ！！』

西「えっ…」

「「「……えーーー！？！？！？」」」





まさか冨岡さんがそんな事を言ってくれるとは思わなくて…


ビックリしすぎて固まっていると
西口さんは私に声を掛けてきた。





西「さん…、本当…なんですか…？」

『あっ……は、はい…。つい先日、から…』

西「そう…ですか…。」

『ご、ごめんなさい…。
言っていいのかどうか分からなくて…』




返事がすぐに出来なかったことで
西口さんに期待を持たせていたのか、

彼はかなり落胆しているようだった。





「ちょ、ちょっと待って下さい！」

「いきなり過ぎて頭が追いつきませんよ！！」

「そもそも、水柱のどこがいいんですか！？
柱だからめっちゃ強いんでしょうけど
いつも無表情だし、何考えてるのか分からないし
愛想だってあまりよくないじゃないですか！」



『なっ…、冨岡さんの悪口言わないで下さい！！』





目の前に本人がいるのに
平気で悪口を吐く隊士達が許せなくて…


私は咄嗟に大声で否定していた。





『確かに冨岡さんは
何考えてるのか分かんないし
愛想も良いとは言えないですけど…！！
この人の良さを私は沢山知ってます！！！
冨岡さんの事をよく知りもしない人が
私の恋人を…侮辱しないで！！！』





勢い良く思っている事をぶちまけると
隊士達は言葉を失い、驚いていて

西口さんも同じように驚いていたけど
何度か瞬きをした後、フッと優しく笑みを溢していた。





「で、でも…！西口だって良い奴なのに…」

西「お前ら、もういいって。」

「けど…っ」

西「水柱の事を否定したら
さんの事まで否定することになる…
俺はそんなことしたくない。」


『西口さん…』


西「色々と失礼な事を言って
申し訳ありませんでした…。
じゃあ、俺はこれで…。」


『っ…』




西口さんは辛そうな顔をしたまま
私と冨岡さんに頭を下げると、蝶屋敷を出て行き

その場に残っていた隊士達も
何か言いたげな様子だったけど
西口さんの後を追って行った…。