第13章 浮名
『大丈夫だよ!
何かあったのかもしれないし、
ここから直接玄関に回るね!』
ア「そうですか…、分かりました。」
『冨岡さん、少し待っててもらえますか?』
「……。あぁ、」
『できるだけすぐ戻ってきますね!』
冨岡さんの返事を聞いた私は
縁側から地面に降りて、
西口さんが待っている玄関へ向かった。
『すみません、お待たせしました。』
西「あっ…、さんっ!!こんにちは!」
『こんにちは。
今日はお連れの方達も一緒なんですね?』
てっきり1人で来たのかと思ったけど
西口さんの側に、3人ほどの隊士さんも一緒にいた。
それに今日は
いつものように、差し入れのお菓子を持って来た訳ではなさそうで…
冨岡さんを待たせてるから
早めに用件を聞こうとしたけど
西口さんの側にいる隊士達が
ヒソヒソと小声で何か言っているようだった。
「おい西口、早く言えって…!」
「そうそう、覚悟決めたんだろ?」
「男らしくハッキリ言えよ!」
西「おう…、わ、わかってる…。」
『…??』
…覚悟って、なんの覚悟?
…ハッキリ言えとか、何の話?
私には何のことだかさっぱり分からず
西口さんと、彼の背中を押す隊士達を見て不思議に思っていると…
西「あのっ!っ、さん!!」
『は、はい…』
…意を決したように
バッと勢いよく顔を上げた西口さん。
その迫力に驚きながら返事をすると
彼は大きく深呼吸をした後、声を張り上げた。
西「俺っ……、さんのことを…
お慕い申し上げております!!!!」
『……え?』
「言った…!」「言ったぞ…!」「言ったな…!」
…ん?
一体どういうこと…??
慕ってるって言ってくれたのは嬉しいけど
そこまで顔を真っ赤にしてるのは…
なんで…?