第11章 今際
…それからしばらくして隠部隊が到着し
今回の戦闘の事後処理が行われた。
炭治郎くんや伊之助くん、
善逸くんも命に別状はなかったけど
下弦の鬼との戦闘により負傷していたことで、隠の人達によって運ばれていった。
隠がバタバタと慌ただしく動いている中で
私は煉獄さんの亡骸の前で俯いたまま座り込んでいた。
みんなの手伝いをしないと…って
頭の中では分かってるのに、悲しみの余り体が動いてくれない…。
煉獄さんが亡くなった事が受け入れられなくて
ボロボロと涙を流す事しか出来ずにいた。
隠「あの…、炎柱の遺体を運びます、ね…?、」
『…は、い……、っ…!!』
その時私は、俯かせていた頭を上げたことで
煉獄さんの顔が視界に入った。
『っ、なんで……笑ってるんですか…っ…』
鬼に殺されて悔しかったはずなのに
どうして最期にそんな笑顔だったのか…
私にはその理由が全く分からなかったけど
煉獄さんの笑顔を見るのは、亡くなった後の今が初めてで…
彼の笑顔は、朝日に照らされていることで
より眩しく見えて…
何だかすごく幸せそうに見えた。
その後、
煉獄さんの遺体が運ばれて行くのを見届けた私は、ずっと泣き続けながら森の中を歩いていた。
煉獄さんが亡くなった…
もう2度とあの人に会えない…
その事実が全く受け入れられなくて
涙がずっと止まらない。
でも、今日の夜もきっと
いつも通り任務をこなさなきゃならない…
早く蝶屋敷に戻って
炭治郎くん達の治療の手伝いをしなきゃ、とか
任務に備えて体を休めなきゃいけないって分かってるけど…
トボトボと歩みを進めている私の頭の中では
煉獄さんが遺してくれた言葉が何度も繰り返されていた。
‘"「冨岡を……頼んだ……」"
会いたい……冨岡さんに……
今すぐにでも顔が見たい…。
零れ落ちる涙を拭いながら
切実にそう願っていると、いつの間にか森は抜けていて、見覚えのある道に出ていた。
『……っ、え…』
道の先を視界に入れると
前方には何故か冨岡さんらしき人が見えて…
見間違いかと思って目をゴシゴシと擦っていると
冨岡さんは少しずつ私に近づいてきていた。