第10章 突風
冨岡さんと2人でご飯にいった日から
数日が経過したけど…
今日もまた、柱と稽古をする為の指令は来ない。
やっぱり柱は多忙らしくて
この前みたいに3日続けて稽古が出来たのは、たまたまだったみたい。
今度相手をしてくれる柱はどんな人なのか…
どんな呼吸を使う人なのか…
蝶屋敷の庭で
朝から洗濯物を干しつつそんな事を考えていると、私の元にしのぶちゃんがやって来た。
「おはようございます、さん。
今日もいいお天気ですね〜」
『あっ、おはよう、しのぶちゃん!
ねぇねぇ、私のカラスのカヨちゃん見なかった?』
「いえ、今日はまだ見かけて無いです。」
『そっかぁ…。
今日も稽古の連絡は無さそうだね…』
…まぁ、稽古が無くても
蝶屋敷で鍛錬は出来るし、炭治郎くん達の訓練の手伝いも出来るから、暇を持て余す事はないんだけどね。
でも、柱と稽古をしている時に比べたら
多少の空き時間は出来て、物足りなさを感じる事もあった。
「まぁ、気長に待っていればいいんじゃないですか?もしかしたら…、冨岡さんの元に行く事になるかもしれませんよ?」
『っ…!?や、やめてよ…!!
あの人の事は考えないようにしてたのに…!!』
「え?どうしてですか?」
『だって……、冨岡さんの事考えたら…
会いたくなっちゃうんだもん…』
まだ最後に会った日から数日しか経ってないのに
あの人への気持ちを自覚してから
ますます好きな気持ちが膨れ上がっていってる…
冨岡さんのことが頭の中にすぐ浮かんできて
会いたいという思いが強くなる…
冨岡さんへの想いは
もう引き返せないくらいまで大きくなり過ぎて
自分でもテンパってるくらいだから。
「ふふっ、恋をしてるさん
とても可愛らしいですよ?
冨岡さんは幸せ者ですね〜。」
『もうっ…!揶揄うのやめてってば…!』
しのぶちゃんは私が恋をしてると自覚してから
度々こうやって揶揄ってきて、私の反応を楽しんでる。
すぐに顔が赤くなる私を見て
しのぶちゃんはずーっとニコニコと笑っていた。