第9章 修練
「ほう…、美しい顔立ちをしているな…
顔に傷をつけるわけにはいかなくなった。」
『…?煉獄さーん、今何か言いました〜?』
眼鏡を縁側に置きに来た私と
煉獄さんがいる中庭の中心は距離があって
何か言ってるようだったけど、上手く聞き取れなかった。
「早く戻って来いと言っているんだ!!
目を手拭いで覆うぞ!!」
『は、はいっ!!』
.
駆け足で煉獄さんの元へ戻ると
これでもか!というくらいキツく手拭いを頭の後ろで結ばれて…
自分で解くのは無理なようだった。
「よし!!気合いを入れろ!!
遠慮せず攻めさせてもらう!!」
『はいっ!!…。ひぇっ…』
「おい!勘で動くな!!」
『す、すみません…!!』
「集中しろ!!感覚を研ぎ澄ませるんだ!!」
『はい!!……。いたぁッ!?』
「もっと集中力を高めろ!!」
『はいぃぃぃ!!!』
そのまましばらくの間
煉獄さんからの攻撃は続いて……
少しずつだけど感覚が掴めてきて
徐々に煉獄さんからの攻撃は避けれるようになってきた。
「…うむ。かなりコツを掴んだようだな。」
『はぁっ…はぁ…、
でも、まだ全部は避けきれないので…』
「そうだな…。だが一度休憩を挟もう。」
縛られていた手拭いを取ってもらい
視界が露わになると、縁側に千寿郎くんが立っているのが見えた。
「兄上!さん!
お茶を淹れたので良かったらどうぞ!」
「おぉ、すまないな千寿郎!」
『ありがとね、千寿郎くん。』
「いえ!
私はこれから食料の買い出しに行ってきますので
さん、引き続き稽古、頑張って下さい。」
律儀にペコっと頭を下げた千寿郎くんを見送った私と煉獄さんは、2人で縁側に腰掛けて、用意してもらったお茶をすすった。
『ふわ〜ぁ、このお茶すごく美味しい…』
「…は視力が悪いのか?
その奇妙な形の眼鏡…、あまり似合っていないぞ?」
『え…、普通に酷いこと言いますね…』
「眼鏡を外した方が美人だ。
素顔のお前は実に美しい。」
『う、うつくっ…!?
そんなわけ無いじゃないですか!!
嘘つかないで下さいよ!!』
「俺は嘘が嫌いだ、思っている事は口に出して言う。」