第9章 修練
「さんって面白い人ですね!
為になる事を仰っていると思ったら
いきなり謝り出すなんて。」
『い、いや…。』
…私なんか別に面白い人間じゃないと思うんだけどなぁ。
でも、千寿郎くんは怒っていないようで
可愛らしい笑顔でクスクス笑っていた。
「ありがとうございます、さん。
今日、貴方にお会いできて良かったです。」
『そう…?
私も千寿郎くんと知り合えてよかったよ!
気軽に名前で呼んでくれていいからね?』
「じゃあ…、
さんとお呼びしてもいいですか…?」
うっ……か、可愛い…。
炭治郎くんと話した時も思ったけど
歳下の男の子ってこんなに可愛いんだ…。
兄弟がいなかった私は
歳下の子と話す機会もこの時代に来るまでは殆ど無くて…
名前呼びを薦めたことで
恥ずかしそうに俯いている千寿郎くんが
とても愛らしく思えた。
『千寿郎くんみたいな弟がいて
炎柱さんは幸せだろうなぁ…。』
「えぇ…、本当にそう思いますか…?」
『当たり前じゃん!
私は兄弟なんていないから…すっごく羨ましいよ。』
「それなら
私はさんを姉のように慕います!」
『あははっ、本当?それは嬉しいな〜』
千寿郎くんと笑い合いながら歩いていると
屋敷の中庭に到着し、そこには柱合会議で顔を合わせた煉獄さんが立っていた。
「兄上はあそこにいらっしゃいます。
では、稽古頑張ってくださいね!」
『うん!案内してくれてありがとね〜!』
千寿郎君にお礼を伝えてから
私は煉獄さんの元に駆け寄った。
「おぉ!来たか!」
『お待たせしてすみません!
本日の稽古、宜しくお願いします!』
「うむ!元気があって何よりだ!
では早速、まずは君の腕がどれほどのものか知りたい。これを持って構えろ!」
『はいっ!』
渡されたのは木刀で
言われた通りに構えると、煉獄さんは私に向かって来て、手合わせをするところから始まった。