第8章 上官
冨「…、胡蝶の言う事は本当か?」
『うぅ……、恥ずかしながら……本当、です…』
し「さんはそういう人なんです。
怪我をしてる人を見ると放っておけない性分なので、早く諦めた方がいいと思いますよ?」
「…チッ。めんどくせェ女だなテメェは…」
『す、すみませ……。え…?』
色々偉そうな事も言っちゃったし
とりあえず謝ろうと思って頭を下げかけたら
未だに血が出ている不死川さんの腕が
私の前に差し出されていた。
「…サッサとやれ、馬鹿が。」
『えっ、えっ…!?
手当てさせてもらえるんですか!?』
「早くしろって言ってンだろうが…。
これ以上、御館様を待たせンじゃねェ。」
『あっ、はい!!ありがとうございます!』
良かった…
諦めずに説得し続けた甲斐があった…。
不死川さんに血の大切さが分かってもらえたみたいで、気分良くなった私は患部にガーゼを当てて、包帯をクルクルと巻き付けた。
『はい、終わりしました。
ガーゼと包帯は清潔さを保つ為に
1日に1回は交換して下さい。』
「チッ…、めんどくせぇな…」
『…?2〜3分で変え終わるのに面倒くさいんですか?』
「あ゛…!?!?」
「「「ぶっ…!!!」」」
…え、なんで不死川さんは怒ってるの?
別に変な事は言ってないはずなんだけど…。
それに、他の柱の人達だけじゃなくて
御館様まで肩を震わせて笑ってる。
普段あまり笑わない冨岡さんでさえも
小さく肩が揺れていた。
「テメェ…、俺に喧嘩売ってんのかァ…!?」
『はっ…?う、売ってないです!!
どうして怒ってるんですか…!?』
「…。」
…あ、やばいかも。
目の前の不死川さんの額や顔に
血管が浮き出てきてる…
理由は分からないけど
相当怒らせてしまったらしい…。
御「…、実弥の手当ては済んだかな?」
『は、はいっ!終わってます!!』
「じゃあ、僕の隣に来て座りなさい。
柱の皆に君を紹介するから。」
『はい…。失礼します…。』
御館様のおかげで
不死川さんの怒りから逃れられた私は
柱の人達と向かい合わせになるように
御館様の隣で正座をした。