第6章 唐突

こんな攻撃…

一発でも喰らったら確実に深傷を負わされる…




刀で受け止めることは出来たけど
鋭い爪を押し付けられる強さが異常で、私は押し戻されないように堪えるのに必死な状態だ。





『くっ…ぅ…』

「へぇ…、女なのに割と力はあるじゃん。」

『こういう時の為にっ…、鍛えてきたんだよ…』

「ふ〜ん…。じゃあ…これならどう？」

『！！？』





至近距離で女鬼の攻撃を止めていると
背中の方から緑のうねうねした物体が飛び出てきて…




私は慌てて刀で女鬼の手を弾き
後ろに飛んで距離をとった。







「気をつけて下さい！！
そいつの体から出てるのは強力な植物の蔓(つる)です！！」





西口さんは、私に叫んでそう教えてくれて…


女鬼の体から出た蔓は、
体に繋がった状態で空中をうなり続けていた。





「私の名前は零余子(むかご)。
体から蔓を出して意のままに操れるの。」


『…厄介な能力だね、それ。』


「あはは、そう？
それじゃあ…、楽しませてもらうよー！？」


『っ…、』




何本もの蔓が私に向かってきて
刀で上手く切り落としても直ぐに再生する…。



これが下弦の鬼の能力…。



切っても切ってもキリがなくて
本体の鬼に近づく事すらできなかった。


伸びてくる蔓をザクザクと斬り落とし続けている私だったけど…




『っ、いたッ……！』




斬るのが間に合わなかった蔓が
私の太腿を掠って、ヒリヒリとした痛みが走った。





「ほらほらどうしたの〜？
もっと楽しませてよ！！」

『くっ…ぅッ…！！』




零余子の攻撃は止む事なく、
ずっと私に蔓が襲いかかってきて…



今度は私の左肩を掠め、服は破れ
そこから血が滲み出てきた。





…このまま攻撃され続けて
防戦一方の状態なのはマズい！！


ただ体力を消耗するだけで
いつかは限界がきちゃう…。





『すぅー…っ…
雪の呼吸、壱の型……粉雪斬りっ！』




先程冨岡さんの屋敷で覚えたばかりの型を使い
一気に蔓を切り落とすことに成功した。



…そして、雪の呼吸を使った私を見て
零余子は一度攻撃を止めていた。