第7章 死神と蝶屋敷
問診が終わると今度は採血だ。
一度に取ると貧血を起こしてしまうので夕食後、寝る前と何回かに分けて取る。
捉えた鬼に血を近づけさせたり飲ませたりして観察するらしい。
ただこの『鬼の捕獲』が案外難しいらしく、しのぶの毒で麻痺させるのだが、弱い鬼だとそのまま毒で死んでしまったり、かと言って強い鬼は勢い余って頸を斬ってしまう。
「鬼の捕獲なら手伝える。藤襲山で頸が届かなくて氷漬けで放置してきた。おそらく死んではないだろう。」
「それは助かります!氷漬けして保管もできそうですね!新しい毒や薬を開発してもそれを試すのに一々鬼を探しに行く手間が省けます!」
「なら今夜にでも鬼を探しに行こう。」
「なら、カナヲを連れて行ってください。私の継ぐ子なんです。まだ最終選別を受けてはないですが、その辺の隊士よりは強く、頼りになると思いますので。」
「助かる。地理には疎くてな。そうと決まれば夜に向けて少し仮眠してくるよ。」
「わかりました。カナヲには私から伝えときます。」
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蝶屋敷の玄関先に向かうと女の子が待っていた。
「君がカナヲか?」
こくりと頷く。
「私はリーン柊だ。しのぶから聞いていると思うが。」
ニコリと微笑むだけのカナヲ。
(しのぶから聞いていたが私以上だな。)
「なら早速行こう。道案内は頼んだ。」
人が消えると噂の神社にやってきた。
どうやら神主が突然死んでしまい、そのあと管理するものが誰もいなく段々と寂れていき、有志の町のひとが手入れに行くも帰って来ず、その様子を見に行った人もまた帰って来ない。こうして神主の呪やら神の怒りやらで誰も立ち行かなくなったそうだ。
「神主を殺した鬼。もしくはその神主が、鬼になっている。まぁどちらにせよ鬼の仕業だろう。」
神社の鳥居をくぐるとキーンと耳鳴りがする。
いつの間にか景色が変わり、そこは瓦礫と化した尸魂界、そして無惨な一番隊舎だった。
「な…。」
足を一本踏み出すとズキリと胸が痛む。胸に手を当てて見ると死覇装を身につけて、ドクドクと肩から腰にかけて刀傷から血が流れ出る。
(精神系の血鬼術か…人の嫌な過去を見せてくる…)