第19章 死神と新年
「??私はいく場所がないからな…杏寿郎のそばを離れるつもりはなかったが…。」
柊は杏寿郎のプロポーズと取れる発言に気づかず、さも当たり前だろと言わんばかりにキョトンとしている。
「…いや、まだ早計だったな。いずれこの言葉の意味をわからせてあげるから待ってなさい。」
杏寿郎が優しく笑うと柊も釣られて笑う。
「今は…こっちに集中しようか?」
杏寿郎が一転、妖艶な笑みを浮かべると柊の腰を持ち上げ、いつの間にか元気を取り戻した己の中心に柊の未だ湿り気を帯びたその穴に突き入れる。
「ひゃぁぁぁっっ///」
突然の挿入に気を抜いていた柊は目をチカチカさせる。
「油断は禁物だぞ柊。」
「そんな…君のせいだろ…っ///」
それから2人は数え切れないくらい体を重ね愛を確かめ合った。
昼前に柊はモゾモゾと布団から顔を出す。
「ん……いつの間にか寝ていたのか…」
「起きたか?柊。」
2人は向かい合って抱きしめ合う体勢で寝ていたようだ。
「体は大丈夫か?」
「…気を失うほど抱くとは聞いてないぞ。」
「すまん。あまりにも柊が可愛くて我慢が効かなかった!」
悪びなく笑う杏寿郎に柊も毒気を抜かれる。
「腰が痛い…。この痛みだけはどう鍛錬しても鍛えられないな。」
「鍛えられては困る!俺はこうやって柊の世話をするのも好きなのだ!」
そう言って杏寿郎は柊の腰を優しくさすってあげる。
暖かな杏寿郎の手がじんわりと伝わり痛みが和らぐ気がする。
「…後片付けは頼んだ…。あと、風呂と朝食、いやもう昼食の時間だな。喉も乾いたし…何か甘いものが食べたい。」
ここぞとばかりに杏寿郎に注文する。とても小さな嫌がらせのつもりだったが、杏寿郎にとっては柊が人にお願いすること自体が珍しい事だったので、目を輝かせて『承知した!!』と言って言われた事をすぐさま実行する。
自分で言った事だが、本当にするとは思っていなかった柊は至れり尽くせりの状態にバツが悪い顔になる。
それをわかってる笑顔の杏寿郎も人が悪い。