• テキストサイズ

死神の華【鬼滅の刃】

第2章 死神と炎柱


杏寿郎の屋敷にきて半月が経った。
だが全集中の呼吸はまだ習得できていない。
死神は周りの霊子を取り込み力にする。自分自身の呼吸を全身に巡らせる感覚が掴めないのだ。

「リーン、あまり無理をするな!根を詰めたからと言ってできる物ではない。そもそも昨日今日で習得できる物ではないのだ。」

わかっている。杏寿郎の呼吸の説明や血の巡りなどを見ても、相当肺や心臓に負荷がかかり、ちょっとやそっとでできる物ではないと言う事も。
だが、だからこそ、早く習得しなければならない。
お館様の配慮で、杏寿郎はこの半月柊の鍛錬に付き合っている。柱の仕事が多忙な事も、見回りや担当地区が広範囲であるのにも関わらず、こうして任務を休ませてしまっていると言う事も。
そしてそのしわ寄せは他の柱の負担になっているのだろう。
その事実が柊にとっては心苦しいのだ。

この炎柱邸にきてからの柊の1日は決まっている。

早朝に起床すると、まず屋敷の掃除から始まる。
そこから近くの河川敷から川沿いを走りこむ。
その際普通に走るだけではなく杏寿郎からの竹刀や木刀からの障害物が含まれる。
当初柊が炊事洗濯をするつもりでいたが、
「君を連れてきたのは家政婦にするためではない!」と一蹴されたので、走り込みをしてる間に通いの家政婦さんが朝と昼の用意、洗濯を済ませてくれている。

朝食後は瞑想しながら呼吸の確認。
そして杏寿郎と竹刀を交えながらの呼吸の確認。
これが案外厳しくて、さすが柱と呼ばれる男だ。
剣を持つとここまで変わるのか。無限に打ち込まれる力強い振り、全集中を極めると杏寿郎のように肺に無駄な酸素を取り込まなくとも少ないエネルギーで最大限の運動エネルギーを使えるのだ。
頭では理解できているが、、。

「…っっかはっっ!!」
「リーン。ゆっくりだ。ゆっくり息を吸うんだ。」

まただ。途中で息をする事を忘れてしまって、呼吸が止まる。
最初は本当に死ぬかと思った。いや、もう死んだんだが。
これを言うと杏寿郎が怒るので2度と言わないが。

「スーっ…フーっ…。」

杏寿郎が柊の手を取り自身の胸に当てる。
杏寿郎の肺の動きを掌に感じ取りながら一緒に深呼吸をする。

「すまない。またやってしまった。」
凛とした柊の顔がまた曇る。

/ 214ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp