第13章 (短編)雪白姫の噂
その日、柊は終わらせた任務の帰り道、偶然話を聞いた。
町の人の話だと件の場所はとある山間の集落で、その集落に向かった商人や旅人たちが帰ってこず、週に一度は降りてくる村人が顔を見せなくなったと言うのだ。
すぐに柊はあやめにその集落についての情報を集めさせた。
あやめが集めた情報によると、人が消えると噂のその集落に鬼殺隊が向かうも連絡がつかず、その後も小隊を組み討伐に向かわせたが、そちらも音信不通になってしまったようだ。
今は柱を向かわせるかどうかの段階のようだ。
「少し様子を見にいってみよう。少しでも鬼の情報を持っていればその分有利だろ。なに、無茶はしない。」
柊はあやめに心配するなと声をかけ、集落に行く事を書いた手紙をあやめに渡すと司令本部へ届けと空に放つ。
細い山道を登っていくとついに集落に辿り着いた。
気配を消し、周辺を見渡す柊。
まだ日は明るいため鬼は外には出ていない。いるとしたら家屋の中に潜んでいるか、日の当たらない山の茂みだろう。
集落には家が10軒ほど建っており、キコリや炭焼きを生業としてる事が見て取れる。
だが人がいる気配はない。更に異様な光景は家屋がどれも酷く壊されているのだ。
血の跡ももちろんだが、気になるのは家屋の傷跡だ。
どうやら鬼の爪などではなく、刀傷のように見える。
鬼殺隊が数人向かったと言っていたが、激しい死闘だったのか、それにしてもここまでイタズラに家屋を傷つける必要があるのか。
柊は比較的損傷が少ない家に入ってみる。
外からはわからなかったが、中はひどい荒れようだった。
(ここも刀傷だらけ…。一体何が…?)
ーーーコトーーー
僅かに音が鳴ったのを聞き逃さず柊は音の方へと向かう。
押入れを開くとそこには鬼殺隊員が血まみれでうずくまっていた。
「っ!!おい!大丈夫か?」
柊はすぐさま応急処置をしようと手を伸ばすと
「うわー!来るなっ!!来るなっ!!!」
闇雲に刀を振り抜き威嚇してくる隊士。
彼の目を見ると白く濁っている。
(視界を奪う血鬼術か!)
「落ち着け!私も鬼殺隊だ!応援にきた!」
それでも止まらない。目と耳両方が奪われているようだ。