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死神の華【鬼滅の刃】

第1章 死神と鬼狩り


転機が訪れたのは雪が積もる真夜中だった。
その日は寒くて中々寝付けず、少し歩いて体を温めようと底冷えのする蔵から出る。すると真夜中にも関わらず、家に灯りが灯っていた。
消し忘れ?そう思い、部屋に近づくと、家主の夫婦が話をしていた。
「いい話だろう?これで厄介払いもできるし、金もたんまり入る。」
「そうね。金が入ったら傾いていた商売も上手くいくわ。」
「あいつの髪と眼は珍しいからな。そういう外国の子を攫ってはコレクションしてるって噂だ。」
「コレクション?」
「なんでも生きたままホルマリン漬けってのにして保管するんだって聞いた」
「私は目をくり抜いて髪を抜いて人形にはめ込むって聞いたよ?」
「まぁどっちにしろあいつは生きちゃいない。忌み子なんて死ぬべきだ。まぁ金になるって言うんだ。今まで生かしておいて良かったよ」
ケラケラと笑う話し声を聞いて鳥肌が立つ。

あぁ私は死ぬんだ。何もせず、何もできず、自分の事なのに他人の意思で。ーーーいやだっ!!ーーー
そう思った瞬間駆け出した。
どこに向かうかも、何があるかもわからない。
薄いボロ切れのような着物一つ身につけ、この真冬の雪の中走り続ける。
はぁはぁはぁっ!!
人目を避け、山の中をひたすら歩き続ける。体力も気力も限界で、寒さで手足の感覚はとうにない。

だんだんと視界もぼやけてきた。もう死ぬのかもしれない。でも不思議と後悔なんてなかった。だってこの死は自分の意思だから。
初めて自分の意思で行動した結果だから。
一歩一歩踏み締めて歩くと開けた場所に出た。

目を見開いた。そこには雪の華が一面に広がっていた。

秋ごろに咲いた色鮮やかな花たちが急激な気温の低下によりそのまま氷に閉じ込められたようだ。


「なんて、、綺麗な景色、、。」
そう言ってその場に座り込む。
あぁ、きっと私はこの景色を見るために生まれてきたんだ。

その綺麗な景色見ながら私は最初の死を迎えたのだ。

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