第8章 死神と水の呼吸
「はぁ、はぁ、」
息が上がり体が火照ってお腹の奥がキューとする感覚。
この感覚は前にも感じたことがある。杏寿郎と縁側で口付けをした時だ。あの時も股に硬い大きなものが当たってその感覚が気持ちよかった。
「義勇、この気持ちいいのはなんだ?杏寿郎は『達した』と言っていたが。」
塵紙で柊の横腹にかけた白い液を拭いている義勇に問いかける。
ピタっと手を止めると。
「…知らないのか?…(やはり処女だったか、最後までしていたら煉獄に殺されるところだったな。)」
140年生きてきた柊に知らないことはないと思っていたが、死神に子孫を残す行為は必要ないため知識として学ぶ機会もなかったのだろう。
「表現としては『達する』も間違いではないが、『イく』とも言う。行為中にそう言えば男は悦ぶ。」
「『イく』…。そうか。私はこの『イく』というのが気持ちよくて好きだ。」
杏寿郎との会話で『好きなものは好きと話す。』その言葉をいつも正直に守る柊。
「ゴホッ!ごほっ!っっな!」
正直過ぎる柊のトンデモ発言に慣れてない義勇は驚きむせ返る。
「柊、そういう事はあまり言わない方がいいと思うのだが。」
「何故だ?私の好きなものを伝えるのは駄目なことか?」
「いや、だめというか…。(煉獄が柊に対して過保護になるのが理解した。これは…危険だ。)」
「義勇、今度こそ寝よう。昼前には出立したい。」
「……(こくり。)」
そして2人は一つの布団で乱れた浴衣のまま抱き合いながら眠りについた。