第9章 拒めない衝動

キタニが果てて女の上に倒れ込んだまま、重く荒い呼吸を繰り返している。

女はその圧に耐えきれず、横を向いて必死に息を整えた。

その頬にそっと触れたのは、なとりの指だった。

な「……大丈夫ですか。」

優しい声。

けれどその瞳は、奥底に燃える熱を隠し切れていなかった。

キタニが少し身を退くと、なとりは女を抱き寄せ額に唇を落とす。

な「……次は、俺の番です。」

静かな言葉なのに、そこには抗いようのない力があった。

女はわずかに首を振るが、なとりはその抵抗ごと抱きしめる。

な「ずっと見ていて、我慢できなくなりました……俺も、欲しいんです。」

耳元に落ちる吐息。

彼の指先が髪を梳き、頬から首筋へと優しくなぞる。

その優しさが逆に、女の心をかき乱していく。

な「怖がらなくて良いですよ……俺は、かやを壊したりしませんから。」

そう言いながらも腰を寄せ、熱を押し当てる。

直接伝わる硬さに、女は震えた。

な「……感じてくれてますね。嬉しいです。」

なとりの声は低く甘い。

彼の手が女の背中を支え、そっと寝かせていく。

覆いかぶさるその顔は優しく微笑んでいるのに、瞳の奥は熱に濡れている。

な「ずっと触れたかったんです……許してください。」

キスは深く、しかし乱暴ではない。

舌が絡むたびに息が詰まり、女は無意識に彼の胸に縋った。

なとりはその反応に小さく息を呑み、さらに熱を注ぎ込む。

な「……かわいすぎます。」

囁きと同時に、彼の身体が女を包み込むように押し込まれる。

一瞬、鋭い痛みが走り、女は小さく声をあげた。

な「……ごめんなさい、大丈夫ですか。」

すぐに動きを止め、頬を撫でる。

女が微かに頷くと安堵の息を漏らし、ゆっくりと腰を進めていく。

な「……こんなに俺を受け入れてくれるなんて……嬉しいです。」

声は震え、理性を必死に保っているのが伝わる。

けれど動きは次第に大きくなり、彼女の中を確かめるように深く突き入れてくる。

女は声を押し殺し、シーツを掴んで耐える。

その様子を見たなとりは顔を歪め、耳元で必死に囁いた。

な「……我慢しないで、声を聞かせてください。俺だけに……。」