第24章 終わらない熱
波のような痙攣が全身を貫き、意識が飛びそうになる。
同じ瞬間、彼の身体も大きく震え熱が奥深くまで注ぎ込まれる。
唇を噛みしめた彼の息が荒く、重なり合った胸板越しにその鼓動が伝わってきた。
「……っ、あぁ……!」
長く、濃密な余韻が続く。
互いにしがみつき合いながら、全身が快感の余波に包まれていた。
しばらくしてキタニが額を彼女の首筋に押し付け、小さく息を吐いた。
タ「……だから言ったろ。止まれなくなるって。」
掠れた声に、女は力の抜けた身体でただ小さく頷いた。
心も身体も彼に完全に支配されてしまったことを、痛いほど実感していた。
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夜の空気は1日の熱をようやく吐き出したかのように冷えていて、仕事を終えて帰路を急ぐ足取りには安堵と疲労が混じっていた。
駅から自宅までの道はいつも通りのはずだったのに、その夜はどこか空気が重く感じられる。
背後に人の気配があるような錯覚に、女は何度か振り返った。
けれど、見えるのは並んだ街灯と人影のまばらな道だけ。
――気のせい、だよね。
そう言い聞かせて歩を進める。
だが、自宅が近づくほど胸のざわめきは強くなっていった。
角を曲がった瞬間、不意に腕を掴まれた。
バ「やっと会えたな。」
低い声と共に強引に引き寄せられる。
振り返った目の前にいたのは――
バンドマンの男だった。