第14章 熱に捕らわれて
服を脱がされていく中で、露わになった肌に冷たい空気が触れる。
ぞくりと震えるかやを、左右から2人が見下ろしていた。
最初に異変に気づいたのはなとりだった。
な「……これ。」
囁きに似た声が震え、かやの肩口へと視線が釘付けになる。
そこには、赤黒く残る痕──
唇で強く吸われた痕跡がはっきりと刻まれていた。
「……っ。」
咄嗟に隠そうと手を伸ばすが、キタニに手首を掴まれる。
タ「隠すなよ。見せろ。」
冷たい声が落ちる。
その目は怒りで鋭く光っていた。
「違うの……っ、これは──。」
言い訳を探すが喉が詰まり、何も言葉にならない。
なとりの表情が苦しげに歪む。
唇を噛み、目を逸らそうとするが結局視線はその痕から離れられない。
な「……やっぱり、あいつに……。」
震える声が漏れる。
その一言に胸が締め付けられた。
キタニが嗤う。
タ「ごちそうさま、って言った意味が分かったな。」
吐き捨てるような声音には、嫉妬と苛立ちが濃く滲んでいた。
「違うの、本当に──。」
必死に否定しようとするが、強引に押し倒される。
ソファに背中を沈められ、両腕を掴まれる。
タ「……許せねぇな。」
低く唸るように言いながら、キタニの唇がその痕を覆った。
吸い上げられ、さらに濃く刻まれていく。
「っ……やだ……!」
抗おうと声を上げるが逆にそれを合図にするように強く吸われ、痛みと熱が混じり合う。
タ「あいつの痕なんて、全部俺が上書きしてやる。」
吐息混じりに囁く声が耳を打ち、背筋に震えが走る。
なとりは止めようとしたが、結局その手はかやの髪を優しく撫でることしかできなかった。
瞳の奥に燃えるような嫉妬を抱えながら。
な「……俺も、消したい。」
苦しげに呟き、なとりの唇も別の場所に落ちる。
胸元、肩口、鎖骨──
至るところに優しく痕を刻んでいく。
「や、だめ……2人とも……っ。」
必死に拒もうとするが、声は熱に溶けて弱々しく響くだけだった。