第13章 密室の罠
バ「……なあ、最高だったろ。」
満足げに笑いながらそう言う彼に、返す言葉を探す余裕はなかった。
荒い呼吸を繋ぎながら、ただ彼の胸に凭れ掛かるしかない。
けれど彼の下腹部に押し付けられた硬さは、まだ完全には収まっていなかった。
彼は汗に濡れた額をかやの肩に埋め、震える吐息を落としながら囁いた。
バ「……まだ、終わりじゃない。」
そう言って再び腰を動かし始める気配に、全身が再び震える。
絶頂の余韻に酔った体はすでに限界を迎えているのに、彼はまだ欲望を収めるつもりはないようだった。
狭い個室の中、終わりの見えない熱に呑み込まれながら、かやはただ彼の腕に囚われ続ける──。
狭い個室に充満していた熱気はまだ抜けきらず、息を整えることすら難しかった。
壁に押し付けられたまま膝は力を失い、ただ彼の腕に支えられている。
汗と吐息と、まだ収まりきらない鼓動が混ざり合い時間の感覚を奪っていた。
そのとき、不意に──
コン、コン。
無機質なノック音が、狭い空間に響いた。
タ「……かや? そこにいるのか?」
聞き覚えのある声。
震える胸の奥が、さらに激しく脈打つ。
キタニだ。
な「大丈夫? さっきから戻ってこないから、心配になって。」
続いてなとりの声。
その瞬間、全身から血の気が引く。
頭が真っ白になる。
自分がどんな状態で、誰とここにいるのか──
理性が一気に戻り、羞恥と恐怖が重くのし掛かった。
「……っ、やば……。」
小さく声を漏らすが、彼はまったく動じていなかった。
むしろ余裕の笑みを浮かべ、かやの髪を撫でながら囁く。