第5章 縮む距離
どのくらい待ったかわからない、そろそろ夜ご飯を作らないと…。
仕方ない…裸のままエプロンをつけてご飯を作り始める。
ご飯炊いて生姜焼きを作った。
テーブルに運んでご飯だよと声をかけるが、返事だけしてスマホから目を離さない。
というかこの人、私がずっと裸なの気付いてないのか?
いつまでゲームしてるの。
「なっ…に……。」
無理やり顔を上げキスをした。
唇を離すと燻んだ蒼眼を見開き見つめられる。
「ふふ、やっと見てくれた。」
「……なにこれ…着てないの?」
エプロンの襟に指をかけ引っ張られる。
「今着るよ。」
「いつから着てないの…つか、えろい…。」
まだ着ないでと頬に手を添えて引き寄せられ、また唇が重なる。
ご飯だよと言っても何度も唇を重ねてくる。
「……触ってもいいの?」
「先にご飯……。」
ん、と短く返事をして唇を舐められた。
薄く開けばすかさず舌が隙間を縫って入ってきて、引っ込めた私の舌に絡む。
どうしよう…やっぱり気持ちいい、変になる。
太腿が勝手に動いてもじもじと擦り合わせる。
悟くん、キス上手すぎなのでは…悟くんの舌しか知らないけど、キスだけでこんななるはずない。
絡めた舌がぬるぬると蠢いて、口内を刺激されているはずなのに下腹部が疼く。
もしこの舌が口の中だけじゃなくて…胸とか…アレを這ったらどうなるんだろう…。
激しくもなくただゆっくりと滑る舌がありえない程、私の頭をふわふわさせる。
このまま全てを委ねたい……。
「はぁ…もうとろとろだ…可愛いね。僕のちゅー好き?」
好き……頷くと食べようかと自身が着ているTシャツを脱いで着せられた。
いや、悟くんが裸なっちゃったじゃん。
「ご飯どころじゃなくなるから、着てて?」
エプロンを取ってTシャツだけになっても、大きすぎて隠したいところは全部隠れる。
頂きますと食べ始めた彼は、美味しいと微笑みながら平らげた。
早すぎでは…。