第12章 最強の…
「悟いる?」
なんでここに雫さんが…なかなか悟くんが帰ってこなそうだから高専に来たようだ。
今はいないと答えると待ってると言って居座る。
それから1時間もしないうちに悟くんが帰ってきて、雫さんは悟くん詰め寄る。
「なんで左雨がいるの。僕は奏音と結婚するって言ってんでしょ。面倒臭いなぁ…奏音、結婚しようか。」
私の手を握っている悟くんにどうする?と覗き込まれて、握り返しながら深く頷いた。
すると悟くんは伊地知さんを呼んで車に乗り込む。
繋がれた手を見つめながらどこに行くのだろうと悟くんを見つめた。
悟くんは役所で車を止めさせると待っててと車から降りていく。
戻ってきた悟くんは伊地知さんに家まで送るよう言って、自宅へと向かった。
術式で移動しないだ…と思いながら、窓の外の流れる景色を悟くん越しに見た。
「書いて。書いたらすぐ証人欄埋めてもらって、提出するよ。」
家に帰って渡されたのは婚姻届だった。
出来るだけ丁寧に書くと、悟くんは今度こそ術式で私の実家や五条家へと向かった。
証人欄を埋めてもらうとまた役所に行き、あっという間に私たちは、本当に夫婦となった。
「五条奏音だね。ふふ…愛してるよ、僕の奥さん。」
「さ、悟くんっ…わっ、ちょっと…。」
ぐちゃぐちゃに溶かされるようなキスを落とされて、私は永遠に最強の妻であることを心の中で誓う。