第9章 透き通るは昔の記憶
討伐終了後、私は柱の2人に声をかけた。
「ありがとうございました…お2人がいなければ鬼殺隊全員殺されてるところでした…私も弱いですね…まだまだだ…。」
「鬼殺隊に入って半年ですぐ貢献できると思ったら大間違いだよ。」
「うっ、」
時透さんの言葉が傷を抉る。
その通りではあるんだけども。
「それよりも…先程の闘いで相当体力を削っているだろう。怪我もしている。早く血を止めなさい。」
「はっ!そうでした。」
悲鳴嶼さんが冷静に指摘する。
目が見えないのにどうやってわかるのだろうか。
という突っ込みはさておき、私は怪我部分の止血を行う。
少しづつではあるが、全集中ができるようになっていて、怪我しているところがわかるようになってきた。
「…ところでさ、」
止血を終えた私に時透さんが不思議な事を聞いてきた。
「僕たち…どこかで会ったことある?」
「先程申し上げましたが…任務で1度」
「じゃなくて…もっと昔に。」
「…昔?」
いつのことだろう。
私は時透さんとあの時会ったのが初めてだし、彼だって私の名前すら分かってなかった。
「…まぁいいや…。」
私は昔に会ってるかもしれないという彼の言葉が気になりつつもとりあえず話を転換した。
「どうしたらもっと強くなれますか。」
「…もっと鍛錬をしなさい。その様子だと全集中・常中も取得できてないだろう…。」
悲鳴嶼さんは痛いところを突いてくる。全くもってその通りだ。
「……本当に強くなりたいなら、口だけじゃなくて行動で示さないとだよ。」
「…はい。」
私は本気で鬼から守ろうという気持ちが劣っているのかもしれない。
それは家族の命を奪われていないからだろうか。
でもそしたら甘露寺さんも同じなわけで。
…やはり、行動で示さなければ。
私はこの日からより一層稽古に力を入れるのであった。