第7章 音の豪奢、頭脳の静寂
煉獄さんの元での修行を終え、私は蝶屋敷に戻ってきていた。彼の熱い指導と、私自身の考察を重ねた鍛錬のおかげで、私の剣技は格段に進歩した。
「煉獄さん…ありがとうございました…」
私は、彼の背中を見送りながら、静かにそう呟いた。
「うむ!愛染君!君の愛の呼吸は、必ず人々を救う!胸を張って生きろ!」
煉獄さんの言葉は、本当に力強く、暖炉のように暖かいものだ。
その日の夜、私は新たな任務の指令を受けた。今回の任務は、複数の鬼が出現しているという、とある歓楽街の調査だ。
「チッ…お嬢様、とっとと行け!相手は、あの宇髄様だぞ!」
私の肩で、銀次郎が焦れたように鳴いた。
「宇髄さん…音柱様、ですか…」
音の呼吸を操り、鬼を爆破する、鬼殺隊の柱。
宇髄天元。柱の中でも特に異彩を放つ男だと、以前からその噂は耳にしていた。三人の嫁、派手好き、そして戦闘スタイルは「音」を操るという。私の手元には、既に彼に関する分析ノートがあった。
彼の存在は、まるで祭り騒ぎのように賑やかで、私のような控えめな人間とは釣り合わない。
私はノートを閉じ、歓楽街の門前に立った。深夜の歓楽街は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。しかし、その静寂は不穏な空気を孕んでおり、遠くから聞こえる微かな悲鳴が、鬼の存在を物語っていた。
状況を把握していると私の鎹鴉、銀次郎が肩に止まった。
「銀次郎、気配は?」
「…ケッ!宇髄様、来る!」
銀次郎がけたたましく鳴くと、直後、背後から突然、爆発のような轟音が響いた。瓦礫を蹴散らし、まるで天空から舞い降りてきたかのように、一人の男が立っていた。
ド派手な化粧に、額の宝石。見る者を圧倒する肉体と、両肩に担いだ二振りの奇妙な日輪刀。宇髄天元。噂以上の派手さに、私は呆気に取られた。
「よぉ、お前さんが今回の俺の相棒か?」