第5章 友情の輪の中で
不死川さんとの共同任務を終え、私は蝶屋敷に戻ってきていた。
「チッ…まったく、俺はもう帰る。お前もとっとと休め。」
不死川さんは、私にそう言い残すと、足早に蝶屋敷を後にした。彼の背中は、以前のような冷たさではなく、どこか温かい響きを持っていた。
私は、彼の言葉に微笑み、蝶屋敷の庭へと向かった。
「ふあぁ…今日もたくさん鬼を倒せてよかった…」
私がそう呟くと、肩に止まった銀次郎が
「ケッ!お嬢様は、本当に変わったな」
と呟いた。
「…銀次郎、私、変わりましたか?」
「ああ。前は、ただ怯えてるだけだったが…今は、ちゃんと鬼と向き合ってる。お前なりのやり方でな」
銀次郎の言葉に、私は胸が温かくなるのを感じた。
そういえば隊士になってから3ヶ月が経とうとしていた。
普段会えないであろう柱の人達に逢える上に任務も一緒にこなすことが多くて、なんだかとても濃密な月日であった。
鬼殺隊として慣れてきたんだな…としみじみと感じたその時、庭の奥から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「猪突猛進!猪突猛進!」
「うわあああ!伊之助、やめろー!」
「ぜ、善逸さん、落ち着いてください…!」
私は、その声に驚き、庭の奥へと向かった。そこにいたのは、炭治郎、黄色い髪の少年、そして猪の頭を被った、見慣れない少年だった。