第4章 分析したい、風の気持ち
その日の夜、私たちは、鬼と対峙した。鬼は、不死川さんの風の呼吸を警戒し、なかなか近づこうとしない。
「…不死川さん!鬼は、左側を警戒しています!右側から攻撃を仕掛けましょう!」
私の言葉に、不死川さんは静かに頷いた。彼は、私の言葉を信じてくれた。
「…風の呼吸、弐ノ型…爪々・科戸風!」
不死川さんは、鬼の右側から攻撃を仕掛けた。鬼は、不意を突かれ、彼の攻撃を躱しきれない。
「よぉし…!愛の呼吸…壱ノ型… 鴻雁愛力!」
私も応戦する。不死川さんの足を引っ張らず、戦力を補強するように。
鬼を倒し、夜明けが近づいてきた。私たちは、何も言葉を交わすことなく、ただ静かに座っていた。
「…お前…俺の剣技を、全部覚えてるのか?」
不死川さんが、静かにそう言った。
「…はい。頭の中で、何度も再生して…。」
私がそう言うと、彼は私の頭を再び乱暴に撫でた。
「…チッ…変な奴…。」
彼の言葉は、以前のような冷たさではなく、どこか愛おしさを込めているように聞こえた。
そして、彼は私の持つノートを奪い取ると、私の名前を書き込んだ。
「…これからは、俺がてめぇのノートに、もっと強ぇ技を書き込んでやる。俺の剣技を全部…てめぇの頭の中に叩き込んでやるから、覚悟しとけ。」
彼の言葉に、私は何も言い返すことができなかった。ただ、彼の優しさに触れ、心がときめいた。