第12章 紅色の瞳の先【煉獄編 第1話】
夜の闇が深まり、縁側には二人だけの静けさが漂う。知令はそっと煉獄の手に触れ、鼓動を感じる。無言の時間が、言葉よりも深く互いの想いを伝える。
戦場で見せる豪胆な剣士の顔ではなく、ただ隣にいるだけで安心できる人としての煉獄──その存在が、知令の心を穏やかに震わせる。
「……煉獄さん、私……あなたの隣にいたい。」
「……あなたが、好き。」
小さく呟く声に、煉獄は短く息をつき、静かに微笑む。その笑顔は戦場の熱さと同じくらい、温かく強く、知令の心を包む。
風が吹き、縁側の髪をそっと揺らす。煉獄は彼女の肩を抱き寄せて、彼女の体を預けさせた。
「…俺も、好きだ。俺は、お前を守りたい。」
二人の距離は縮まり、互いの心が触れ合うかのように響き合う。知令は自分が守られるだけでなく、守りたいという気持ちも芽生え、恋と成長の両方が胸に静かに燃え上がるのを感じた。
夜が深まる中、二人は火照る頬を意識しつつも、静かな安息に包まれる。これから来る戦いの日々に備え、心を確かめ合うかのように。呼吸は穏やかでも、胸の奥はまだ熱く、互いへの想いは言葉を超えて深く浸透していた。