第3章 媚薬 ※壬
「親父はいないから内緒もなにもないけど…3つ無い…」
「…私が……1つ……食べさせられました」
薬屋姉がギョッとした顔で高順を見た。
高順の雰囲気が官能的に見えたのは媚薬のせいだったらしい。
「強烈ですね。これは...」
「 が持っていた方はより強力な媚薬です。この子は酒にはめっぽう弱いですが、媚薬に耐性があるので純粋にこれの味が好きなだけなんです…...酒が入ると風味がよくなって口どけもまろやかになるんですよ...」
高順は自分の上でスヤスヤ眠る の肩を支えながら上半身を起こした。
薬屋姉は酒入り媚薬を懐にしまうと、 妹を連れて帰ろうと背負おうとした...が、見た目に違わず非力なようで全く背負えていない。
代わりに抱き上げてやろうとしたが、断固拒否された。
解せない
「もし万が一、壬氏様が を担いで廊下を歩いていたことが誰かの目に入ったら、後が大変なので、絶対にやめてください。」
確かに、それを考慮して薬に当てられたあの侍女達はが高順に任せたが...
「私が抱えましょう。このくらい軽ければ問題なく歩けるので。」
熱い吐息のまま高順が薬屋妹を横抱きにして立ち上がった。
そのまま、薬屋姉の案内で妹の私室までついていった。
面白くない...
しかし、そんな気持ちも吹っ飛ぶほど、薬屋妹の私室は...スゴかった。
乾燥させてある草があちこちにおかれていた。
姉の方が、大興奮して草を見てるので薬草の類いなのだろうが...
高順はベッド上に抱えていた体を転がした。
この薬屋姉妹は色々ぶっ飛んでいる。
だが、それが面白い。
自室に戻り、辛そうにしている高順を早々に帰宅させた。
機能しないように飲んでいる薬を凌駕して、しっかり天を向かせていたあの酒入り媚薬は実に恐ろしい。
こっそり持って帰った薬屋姉の夜食のパンは旨いが、あんなに凶悪な変化はない。
酒で効果が増強するのなら、例の計画がうまく行く可能性が高くなったと思ってよいだろう…
「……さて…動くとするか……」