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薬師助手の秘密【R18】

第3章 媚薬 ※壬




侍女頭についていき、玉葉妃の部屋にはいると、やはりあの腹黒似非天女が胡散臭い笑顔で振り返った。

姐さんもいたので私たち2人に用があるってことか……


「よし、揃ったな」


わぁー。面倒ごとの匂いがプンプンする…
笑みを深めたご尊顔に唐辛子の粉をかけたくなってしまった。

壁の向こうでは誰がお茶を淹れるかで揉めてる声がするが、雑巾でも絞ってやれ!
あ、ダメだ……姐さんが毒味する……美味しく淹れたお茶は出して貰わねば…

延々と続く争いに、侍女頭は溜め息をついて壁の向こうに行くとピタリと声がやんだ。

お茶を持ってきた侍女頭は皆の前にお茶を置いて、猫猫の前にも銀製の茶碗を置いた。

腹黒似非天女の視線がさっきから痛いくらい刺さってるが絶対に視線を向けないようにしている。
姐さんも全く見てないし、その選択は間違ってないはず。


「毒はありません。」


姐さんは毒味すると、その茶碗をそっとこちらにくれる。
毒味は終わってるので皆、飲み始めて良いのだが、いつもニコニコしながら翡翠の人達は が飲むのを待っている。

大したことではないが、誰が淹れたお茶なのか大方当てることが出来る事に気づいた翡翠宮の侍女達は、面白がって日々遊び感覚で利き茶をやっているのだ。
そのおかげか、侍女達のお茶淹れスキルがメキメキと上がってきている。


「…見た目は緑茶だけど…色が違う?いつもの太平猴魁じゃない…新しいお茶?…香りが違う…甘い……飲んだこと無いお茶…美味しい…誰のかは分からないけど…」
「…甘い……?」


ブツブツ呟いていると、甘いという単語に引っ掛かりを覚えたようだ。
いつものお茶よりは渋みが少ないので甘く感じたんだけど…


「流石ね。これは今回初めて淹れたお茶よ。貰い物なんだけど…」
「西湖龍井という。」


へぇーー。初めて聞いた…後で調べてみよう…


玉葉妃に似非天女が続いたので、多分そこから来た茶葉だったのだろう。
いつものお茶よりもこっちの方が好きかも…出所が腹黒似非天女ってのがアレだが。




「薬屋、貰い物なんだが、これも味見してくれないか?」



腹黒似非天女は、胡散臭さ全開の笑顔で姐さんに白い物体を差し出してきた。



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