第2章 护手霜
作ったハンドクリームは翡翠宮の人に配った。
腹黒似非天女も何故か欲しがり、大変ウザかった。
何時も天女の後ろにいる…人に申し訳なさそうな顔をされたが、欲しいのは顔芸じゃない。抑止力だ!!この天女を止めろっ!!
大体、このまま意中の女に渡したら、絶対に振られますけどー?と、思ったが、振られる姿を想像して大変ザマァな気持ちになったので渡すことにした。
無様に褥を涙で塗らすが良い!!
姐さんには残った全ヒマワリの種とハチミツを献上した。
アレからまた暇な日々に戻ったが、どうやらハンドクリームとマッサージが大層気に入ったようで、 の仕事の日課に加えられた。
玉葉妃はもとより美しい手をしているので触り心地…くらいでしか分からないが、侍女達は目に見えて変化が出てきていて、それが結構楽しい。
あと一つ…変わったことが…
「また危険なことはしていませんか?」
「…私だってそんなしょっちゅう無茶はしません。」
「無茶をした自覚はあるのですね。」
「………」
後宮にオカン的存在が出来た。
「高順さん、あっち行かないといけないのでは?」
「そうですが、その前にこれを。」
手にそっと包みをのせられる。中を開いてみると甘い香りがするお菓子。
「月餅饅頭です。食べたことは?」
「無いです…」
「そうですか。甘くて美味しいですよ。二つあるので小猫と一緒に食べて下さい」
「ありがとうございます…」
翡翠宮に奴が来たときは大体玉葉妃の部屋から離ているのに、全身蜂刺傷発覚日から、この天女お付きの宦官はこうして と猫猫分の小さなお菓子を持ってくるようになったのだ。
多分、この人は勘違いしてる…気がする
姐さんのためなら無理も無茶もするのは変わらないが、周期的に姐さんにあげるお菓子があれば無茶しないというわけではない。
姐さんのためなら何時いなかる時も無理と無茶はする…ということだ。
高順さんがくれるお菓子は何時も美味しくて…貰っちゃうけど…
あと、この人は少し離れたところからわざと足音を立てて近付き、声をかけてくれる。
この人は、多分悪い人じゃない。
…今のところは………。
一礼してその場を辞そうとしたら、侍女頭が を呼びに来た。
奴が呼んでいる…とか。
嫌な予感しかしない。