第12章 怒りと嫉妬_お仕置
家のクローゼット前
ガチャ、と上着をハンガーにかける智和。
杉田(内心)
「一瞬しか見えなかったけど……」
外・駅近く
携帯を見ながら歩く智和。
「今日、悠一と唯は新人歓迎会か……飯、1人ぼっちかぁ……」
ふと前方を見ると、あれ…… 唯?
目の前で、知らない男が唯のほっぺにキスしていた。
智和はその光景に言葉を失う。
杉田(内心)
「唯……だったと思うんだけど。見間違えるはずない……。でも一緒にいたのは、悠一じゃなかった……?」
目を細め、頭の中で必死に考える。
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玄関の鍵が開き、扉が静かに開く。
唯
「あっ! 智和、ただいま」
智和は自然と笑顔になる。
杉田
「おかえり……ひとり?」
唯
「う……うん。ひとりだけど」
杉田
「駅前の居酒屋通りで、今日唯を見かけた気がしたんだけど……」
唯は思わずビクッとする。上着をハンガーにかける手が少し震える。
智和はトン、とクローゼットに手をかけ、唯の様子をじっと見つめる。
杉田
「一緒にいたの……あれ、誰?」
唯は振り向き、智和の顔を見つめながら、しどろもどろに答える。
唯
「え……と……後輩……」
杉田
「へぇ、後輩なんだ……素敵な先輩になったね、後輩にもキス許すなんて……」
唯
「……違う! 違うの、あれは!!」
しかし智和は、強引に唇を押し付ける。
唯
「んっ、んんん!!」
唇をこじ開けられ、まるで食べるかのように舌を吸われる。
唯
「ぷはっ……///ともかず…」
杉田
「君がキスさせていいのは、僕と悠一だけでしょ……」
智和の目には、怒りと独占欲がほんの少し混じっていた。