第5章 不埒な夜に堕ちて
甚「……こんなに、可愛い顔して誘って……わかってんのか?」
耳元で囁かれ、頬が熱くなる。
答える余裕もなく、ただ彼の胸に縋る。
ソファに押し倒され、視界が彼の影で覆われる。
唇が首筋を辿り鎖骨へ、さらに下へと降りていく。
吐息が肌をくすぐり、体の奥がじわりと疼き始める。
シャツのボタンが1つずつ外され、露わになった肌を容赦なく唇がなぞる。
甚「震えてる……俺のせいか?」
意地悪く笑う声に、かすかに首を振る。
でも、それが嘘だと彼はすぐに見抜く。
大きな手が腰に回り簡単に抱き上げられると、ベッドの上へと移された。
ふかふかの感触が背中を支えると同時に、彼が覆いかぶさってくる。
視線が絡み、もう後戻りはできないと悟る。
そして——
その夜は、互いの距離を完全に消すまで続いた。
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シーツに沈んだ背中から、微かに漂う柔軟剤とアロマの香り。
その上に覆いかぶさる甚爾の体温が、逃げ場を与えず全身を包み込む。
低く湿った吐息が耳元に掛かるたび、背筋がぞくりと震えた。
彼の手は容赦なく動く。
指先が鎖骨から胸元へ、ゆっくりと撫でるように滑り降り布越しに柔らかい感触を確かめる。
触れるだけなのに、そこから火がついたように熱が広がっていく。
甚「……力抜け。もっと感じろ。」
耳元で囁く声は低く、命令のようでいてどこか甘やかだ。
言われるままに力を抜こうとするが緊張と期待が入り混じり、心臓が落ち着かない。
彼の唇が再び動き出す。
首筋を這い、鎖骨をなぞり、さらに下へ。
口づけの合間に舌先が触れ時折、軽く歯が立てられる。
その小さな刺激が、胸の奥でくすぶっていた感情を一気に燃え上がらせた。