第9章 苦しくなる心とぶつかる本音
『もしもし?雅?』
「おはよ、遅くなっちゃってごめんね?今いい?」
『うん!いいよ!』
「あのね?新条さんの誕生日の事なんだけど…」
『どう?』
「加賀さんが来るってのも嬉しい事なんだけど…」
『ん、気まずい?』
「気まずいっていうか…ちょっとね…昨日…」
そうして昨夜の出来事をミキに話した雅。
「…って事があって…」
『…ーーーー』
「ミキさん?」
『なぁんでそんなことになってるんだよ、加賀に呼び出されてって…確かに昨日いなかったけど…』
「え?」
『体調どうかとか…、後遺症の有無とかの確認取るのに、今日子さんが部屋に行ったんだけどいなかったって言って…』
「う、そ…」
『ん、夜の何時ごろ?』
そうして詳細を伝えれば、一部時間が重なっていた。
「…なんでだろう…」
『そりゃ、加賀にしかわからないけど…それでもバイク乗れるのなら問題はないだろうけど…』
「ん…でも…ミキさん…私…」
『待ちな?雅。』
雅のいう、その先の言葉をミキは静止するかの様にぴしゃりと止めた。
『…あのさ?その先って絶対私に言う言葉じゃないよ』
「ミキさん…」
『それは加賀にいう言葉でしょ?』
「そうは言っても…もう話すらできないかもしれないのに…」
『なら新条の誕生日会に参加しなよ。さっきも言ったでしょ、加賀も来るって…』
「そうかもしれないけど…」
『雅!』
しびれを切らしたかの様に雅の言葉を遮った。
『誰に遠慮してるのかわからないけどさ?あんたはどうしたいのさ』
「…ッッ…遠慮って…」
『だってそうだろ?!そんなに遠慮してたら本当に加賀、誰かの物になっちゃうよ?!』
「そんなこと言っても…」
『好きにしたらいいよ。でも後悔したって遅いんだよ?!あの時こうしてたらよかったって…後で後悔しても時間は戻せないんだよ…ッッ』
そういうミキの声はどことなく震えている様にも聞こえた。