第39章 珍しい嫉妬
そして予選もすべて終わり、またしても当然のごとくに加賀がトップをとって行く。そしてついに決勝の日。
「…城?」
「ん?」
「……無理しないでね?」
「なんのこと?」
「…ううん、なんとなく。」
「すげぇ気になる言い方だな」
「…なんとなくだから…」
「…そうか?」
「ん」
そうしてピットに出る前、いつものおまじない…と言わんばかりにメットを抱えたまま、背伸びをして雅は河岸お唇に自身のそれを重ねた。
「…行ってらっしゃい」
「あぁ、待ってな?」
「ん」
そうしてメットを渡し、コース上にあるマシンの元に向っていく加賀。その背中を見送った後に振り返れば俯いてしまっているハヤトと目を細めてため息を漏らすアンリがいた。
「…ふぇあ?!」
「もしかして今気づいたとかって落ちじゃないでしょ?」
「……いつからいたの?!」
「だいぶ前だな」
「グ、レイ!?」
「僕たちは見慣れてるけど…まぁまぁ」
ふふっと笑うフィルとリックも居た。
「…あれっていつもな訳?」
そうぶっきらぼうにも取れる聞き方のアンリにハハっと笑いながらグレイは「おまじないだな」と答えていた。
「……そ、そろそろ行かないと!ほら!!!」
そう雅はメカニック三人をコースに押し出す様に向かっていく。
「…それで?」
「へ?」
「雅は行かないワケ?」
「うん。なんで?」
「なんでって…」
「だってアンリの時だって私一回もコース上に出てないでしょ?」
「…それもそうだけど…」
「私にはやることもあるし。ね?」
ふっと見せる笑顔はよく見知ったものであったものの、どことなくアンリの心にはツキン…と痛むものもあった。