第32章 新機、登場
「別ににやけてない…ていうか放してください?」
「なぁんで?別にいいだろ?」
「いえ、私そういうの間に合ってますので…」
すいっと手をほどいてニコッと笑いかけた。
「…まぁ、いいんだけど?」
目を少しだけ細めてリックは雅の背中を見ていた。かくいう雅は、フィルとグレイの元に行き、しゃがみ込んでマシンを見ていた。
「リック?前も言ったけど、雅は俺の女だ」
「…知ってるよ。でもさ?」
「なんだよ」
「なんか嬉しいんだよね、父さんの事とかいろいろ知っても俺になつかないのって。今までそういう女しかいなくて、そうなんだって思ってたところだったから。」
「…ま、あいつはそういう奴だしな」
「で、挙句の果てに二人揃って首に痣なんか付けられてこられた日にはいじわるの一つもしたくなる訳よ」
ニっと笑えばリックは少しだけ伏目がちに話していた目を上げれば加賀を見つめる。
「…ま?俺この見た目だし?女には不自由してねぇんだけど、それでもあぁ言う子見ちゃうとさ?」
「解るけど、雅には必要以上に触れるな」
「でもフィルとかはいいのか?」
「…本来なら俺の横にずっと居させてぇんだ。でもそういうのは違うだろ。」
「だから男除けってわけな?」
フッと笑えばリックはパタパタと走り回る雅を目で追った。
「…ま、手は出さねぇよ。人の女に手ぇ出すほど趣味悪くねぇ」
「出しかけてんのは誰だよ」
「俺?」
「てめ…解ってんじゃねぇか…」
「そういうなって、ほら、相棒に挨拶して来いよ。しっかりと整ってるぜ?」
そういわれて目つきが変わるリックと加賀。マシンを前にすれば誰しも変わるのは当然だが、この二人は素人が見ても解るほどに変わるのだった。
「あ、加賀。雅ならすぐ戻ると思うよ?」
「あぁ、放っておいていい」
そう言いながらもするりと反射するほどに磨かれたボディに触れた加賀。
「…これからよろしくな」
その光景を見た面々も笑っていた。